『狼と香辛料』著者:支倉凍砂 イラスト:文倉十 レーベル:
電撃文庫
<あらすじ>
行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。
少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。
「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」
老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。
しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることを了承した。
そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。
近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂
。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが―。
・設定 ★★★★★★★★★☆ 9点
・ストーリー ★★★★★★★★★☆ 9点
・文章 ★★★★★★★★☆☆ 8点
・キャラクター ★★★★★★★★★☆ 9点
・ギャグ ★★★★★★☆☆☆☆ 6点
・シリアス ★★★★★★★★☆☆ 8点
・表紙 ★★★★★★★☆☆☆ 7点
・挿絵 ★★★★★★★☆☆☆ 7点
・総評 ★★★★★★★★★☆ 9点舞台は中世ヨーロッパ風の世界。
商人ロレンスと、賢狼ホロの物語です。
魔王を倒すための冒険、
突如立ちはだかる超能力者、
魔法による派手な戦闘、
迫り来る世界の滅亡…。
そんなものは一切ありません。
店を持ちたいと願う主人公。
故郷に帰りたいと願う賢狼ホロ。
利の一致した2人のたびは、とある田舎の農村から始まります。
鍵となるのは「経済学」。
交易による利潤、貨幣取引に隠された儲け話。
○○学、と聞くと難しく思われるかもしれません。
しかし、丁寧な描写のおかげでその道にまったく縁がない私でもわかりやすい。
また、主人公とヒロインの掛け合いをはじめ、
登場人物たちの考え・感情に関する描写も上手いです。
ラノベには珍しい高度な心理戦は、物語に良いスパイスを効かせています。
もうひとつ特徴的なのは、キャラクター。
「わっち」、「ぬし」、「~してくりゃれ?」など、
ヒロイン:ホロの独特な口調。
そして可愛らしい仕草。
キャラ小説としてだけでも通用するクオリティです。
穏やかにシナリオが進む前半。
一転して、手に汗握る展開の後半。
一気に読めてしまう疾走感がこの作品にはあります。
序幕から終幕まで、とても綺麗にまとめられた作品。
おすすめの一冊です。
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